第136章 まさか彼女だったとは

杉浦杏奈は、灰原仁司に途中で放り出されるものだと思っていた。けれど彼は、結局そのまま彼女を家まで連れ帰った。

ただし、灰原仁司は終始ひと言も発さず、そのまままっすぐ二階へ上がっていった。

広いホールに一人取り残され、杉浦杏奈は少しばかり居心地の悪さを覚える。

ここへ来てからというもの、彼女が使っていたのはずっと灰原仁司の部屋だった。ほかの部屋に泊まったことは、一度もない。

もっとも、この家はやたらと広い。

杉浦杏奈は二階のいちばん奥にある客間を適当に選び、ベッドへそのまま仰向けに倒れ込んだ。

客間ですら十分すぎるほど広く、内装も贅沢だ。頭上に下がるシャンデリアひとつ取っても、軽く...

ログインして続きを読む